2013年10月11日金曜日

苦戦する中国進出企業 厳しい規制、撤退も困難

 台風18号が日本列島を直撃した9月15日。日曜日の早朝にもかかわらず、電話をかけてきた関西系の中小企業のある社長は、少し追い詰められたような声で記者に突然こう告げてきた。
 「2日前の話、悪いけど全部聞かなかったことにしてほしい。どんなにぼかしても、中国当局には当社だと分かってしまう」
 業種も所在地も一切記事にしないでほしいと述べた上で最後には「ばれたら会社がつぶれる」と言った。
 中国経済の先行きに不透明感が漂う中、中国からの事業撤退や戦略の見直しをテーマにしたセミナーの開催が昨年来、全国各地で相次いでいる。昨年11月には東京、今年1月には大阪で行われ、参加者はそれぞれ100人、80人とほぼ満席。冒頭の社長はこれらのセミナーに参加した経営者の一人だった。
 「なぜ、中国から撤退したいのか」
 10社以上に取材を依頼し、複数の経営者が応じたが結果的には全社が「やっぱり出さないでほしい」と記事化の拒否を申し出てきた。理由をたずねると、各社長とも異口同音に「絶対に中国側にばれる」と説明した。
 中国人従業員への退職金支払い、追徴課税などが障壁となり、大企業ですら中国から撤退するのは難しいといわれる。経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な中小企業にとってはなおさらだ。
 「中国政府当局は欧米企業への対応に比べ、日本企業には格段に厳しい。欧米には“逃げ得”を許しても、日本企業だけには『一円たりとも得させない』というような空気がある」
 中国事情に詳しい税理士の近藤充はこう指摘する。
 日本企業が中国から撤退する理由は、同国経済の減速、現地調達した部品の不良の多さ、人件費の高騰などがある。だが、ある社長は単純な経済事情だけでないと言い切る。
 「背景として歴史認識の違いを起点とする反日思想があるのは間違いない」

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